法律は、守ってさえいればいいのか?

 悲惨な事故が相次いだ。登校する小学生の列に車が突っ込んだかと思えば、今度は夜行バスの大事故である。犠牲になられた方々の遺族の悲しみは計り知れず、心よりお悔やみ申し上げたい。
 ところで、今マスコミでは夜行バスの運行についての報道が集中している。運転手の状態や会社の運行のあり方、旅行会社との関係など様々だが、一つ気になっていることがある。

 それは、バス会社のバスの運行については、今のところ法律に触れていた事実が見当たらないということだ。もちろん、これからの捜査によって法律違反の実態が明るみになるかもしれないが、今のところはそういうことだ。会社の社長のコメントも、「法には触れていないが、結果としてこういう事故が起こったことを考えれば(その運行の状況が)適切だったとは言えないと感じている」と…。

 だからこそ、規制(2人制にすべき運行距離など)そのものが緩すぎたのではないかという指摘もある。そして、そもそもこの規制も、自由競争の名のもとに自・公政権の時に緩和された代物だ。だから、規制そのものに問題があったというのは間違いないと思う。

 しかし、気になっているのはそこではない。規制緩和されたからかどうかはともかく、このバス会社が規制に反していたという事実が今の時点では見当たらないということだ。もし、結果結論、規制は守られていたとなれば、“規制が甘かった”のは確かにそうだろうが、“規制(法律)を守ってさえいればいい”だけでは、社会に対する責任は果たせないということなのではないだろうか。

 これはどんな企業にも当てはまることではないか。法律に違反していなければ、何をやってもいい…、あるいは法律を守っていたにもかかわらず起こった事故については責任はない…、これが社会に通じるかという問題である。

 きっと、今回の夜行バスの事故では、会社に運行についての規制違反がなかったとしても、会社の社会的責任は大きく問われることになるだろう。社会的な責任を果たすということがどういうことなのか、今回の事故は極めて大切な教訓を示しているように思う。

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法律は、守ってさえいればいいのか? への2件のフィードバック

  1. nishizaki のコメント:

     あらあら、「多数の法令違反」が判明したようですね。まぁ、労働実態からして驚きはしませんが、それでも“法律違反をしていたから起こった事故”というよりも、“法律違反もしていたから起こった事故”であり、“過度な競争の中で生き残るために必然的に生み出された過重労働によって起こった事故”というほうがしっくりくるような気もします。まぁ、過酷な過重労働で生き残りを最優先にしている企業は、おのずと法令違反の実態も“ついてくる”ということなんでしょうねぇ。

  2. ハイサイおじさん のコメント:

    事故率から言うと飛行機の方がバスよりはるかに安全な乗り物です。その安全を担保するために料金は高くならざるを得ないのですが、規制緩和で価格競争が激化してる現状は本当に心配です。

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