電力会社の株主総会が相次いで開かれ、どこも大荒れのようだ。東電の総会では、いわゆる“委任状”が過半数を優に超えていることで始めから決まっているとばかり、動議が出て採決してもろくろく数えもしない運営にはあきれてしまった。もちろんどこぞの民主的組織とは違い、資本主義社会の元での株式会社なのだから、一人一票制などという“あまっちょろい”ものではなく、大株主が議決権をたくさん持っているということは理解しているつもりだ…。
しかし、理解はするものの、それによって出てきた結果が、国民や特に今回の事故で甚大な犠牲を払っている被災地の皆さんの気持ちにそぐわないものでしかないとしたら、それはもう株式会社組織、それを運用する経済社会のあり方そのものが、もう国民のためにはならないということなのではないだろうか。
最近では、原発がなぜ地震国である狭い日本の国土に50基を超えるほどの数が作られてきたのかといった過去の歴史が、あちこちの文献で語られるようになってきた。そこにはいかにいいかげんで金儲け主義、会社(株主)至上主義、非科学的で机上の空論だった安全神話絶対、それを洗脳するためのマスコミ対策と大量宣伝、アメリカからの圧力など政財界の実態が暴露されている。もちろん、それらのどこまでが真実なのかを見極めることは必要だ。私自身もこれまで「原発を直ちに廃止すれば、電力需要は賄いきれるのか?」といった疑問を抱き、単純な反原発の考え方とは距離を置いてきた。しかし、こうした文献を読めば読むほど、電力需要がどうのこうのという以前に、原発というものの恐ろしさをあまりにも知らなさすぎたと感じずにはいられない。つまり、私自身も相当、電力会社の宣伝に侵されていたのだと自覚するに至ったのだ。
だとすれば、電力会社がそれでも原発に固執するのは、もうただ単に金儲けのためだけではないか。これだけの事故を引き起こしたにも関わらず、問答無用で総会を押し切り、会社側の言い分を押し通そうとする姿はもう醜いとしか言いようがない。しかし、残念ながらそれが今の日本の社会の実態であり、それが資本主義でもあるんだろう。ヨーロッパのように経済ルールが進歩・発展している国の資本主義では、日本ほどでもないんだろうけど…。