「いや、訓練ですから」…これが自衛隊の本質

 9時からのNHKニュースで、自衛隊が自治体と連携して防災訓練を行ったという報道がされていた。自衛隊が迷彩服で市街地を歩き、役所などの防災拠点を回る…といった訓練だったようだ。アナウンサーのコメントも、迷彩服で移動する隊員の姿に住民が驚く気持ちはわかるが、自治体と自衛隊との連携は、首都圏の大規模地震が差し迫っている中では重要な取り組みだ…といった感じ。

 おいおい、ちょっと待てよ。それがなんで自衛隊でなければいけないの?確かに3.11震災の折には救助活動を行い、少なくない市民が救助されたことは事実だ。しかし、それが自衛隊でなければいけないことはない。災害救助を専門とする組織に改変した方がよっぽど住民のためだし、世界の役にも立てると思う。

 こんな話がある。3.11後、ボランティアで被災地に支援に入っていた全労連の仲間が体験したこと。自分が入った地域に自衛隊が救助活動を行っていたそうだ。その仲間がある一人の自衛隊員に「大変ですね」と声をかけた。するとその自衛隊員は、「いえ、訓練ですから」と平然と答えたそうだ。TVなどで紹介される自衛隊員の姿は、必死になって被災者を捜索する姿ばかりである。もちろん、そういう隊員もいるだろう。しかし、救助活動を平然と“訓練だ”と言ってのける隊員が一人でも存在するということは、それこそが自衛隊の本質を語っていると思うのだ。本当に人命を救いたいと思っているとすれば、そんな言葉は絶対に出てこないはずだ。つまり、その隊員こそが自衛隊の本来の任務を真に理解し徹底しているわけであって、涙しているような隊員はまだまだ甘っちょろいということになるのである。

 それを美談にすることで、“だから自衛隊は必要だ”などという主張に結び付ける意図が見え見えである…というか、もしかしたら無意識のうちにそう思うようコントロールされていると言えるのかもしれない。

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「いや、訓練ですから」…これが自衛隊の本質 への10件のフィードバック

  1. 通りすがりその2 のコメント:

    憲法9条のような矛盾をはらむ日本国では、本音と建て前と言うものが昔から人を縛っている
    軍隊を自衛隊と呼称せねばならぬように、自衛隊内でも厳格に使えない言葉が多い

    結果何が言いたいかと言うと、旧軍で言う作戦参謀は運用訓練幕僚と呼称している
    自衛官が訓練と言う場合作戦担当者の事であったりするのだよ・・・この自衛官も一般人相手であることを失念して、自分の立場を言っただけでは?
    「大変でしょう?」「(私は)訓練(担当者)ですから」と・・・

    • nishizaki のコメント:

      訓練=担当者?申し訳ありませんが、だとすれば、その言語は、普通の人としての理解を超えているためコメントのしようがありません。あしからず。

  2. 通りすがり のコメント:

    >災害救助を専門とする組織
    そんな単能組織は予算の無駄でしょう。

    >「いえ、訓練ですから」
    一言だけでは情報が少なすぎます。これでは何とでもとれるでしょう。
    「訓練は実戦の様に、実践は訓練の様に」とは、避難訓練でも言われることであり、「訓練と同じですから」と言おうとしたのを疲労で言葉足らずになっているだけかもしれませんし、逆にお仲間が聞き逃しただけかもしれません。
    たったそれだけの情報で自衛隊すべてに関してのイメージを決めつけるのは浅はかすぎると思いませんか?

    • nishizaki のコメント:

       確かに、一般論として言えば、たったそれだけの情報で決めつけるのは浅はかだと自分でも思います。しかし、この記事の対象は『自衛隊』です。マスコミや政府の言い分でいう『国民の命を守る』はずの組織のことです。私は、そう言われている、あるいはそうであるはずの組織に所属する人の中に、一人でもそういうことを言ってのける人がいるとすれば、その組織の底が知れてるということを書き表したということです。
       ちなみに、私の“お仲間”が聞き漏らしたのかどうかは定かではありません。しかし、“お仲間”から私がこの話を聞いた時、その“お仲間”自身が耳を疑ったと同時に抗議しようかとも思ったがやめといたとも語っていたので、あながちウソではないだろうと私自身も受け取ったということです。

      • 通りすがり のコメント:

        おそらく、
        『国民の命を守る』組織である自衛隊の隊員が、救助活動においてそれを『任務』ではなく、『訓練』と発言ことは自衛隊が国民の命を守るための組織ではない事を表している
        ということを言いたいのでしょう。
        私も、このような意識を持った自衛隊員が多数いる、もしくは上層部がそう認識しているのであれば、自衛隊にはその根本に構造的な欠陥があることは疑いの余地がないと考えます。
        しかし、20万人以上いる自衛隊員の中で1人しかそのような考えを持っていなかったとしたら、それでも自衛隊の組織運営に欠陥があることには変わりませんが、それは改善の余地がある程度の欠陥であると考えます。

        • nishizaki のコメント:

           まぁ、それ>>20万人以上いる自衛隊員の中で1人しかそのような考えを持っていなかったとしたら、それでも自衛隊の組織運営に欠陥があることには変わりませんが、それは改善の余地がある程度の欠陥である>>も推測の域を出ませんね。逆もしかりということでしょう。
           ただ、これは“構造的”な問題ではないと思いますね。普通の人間なら、未曽有の災害を目前にすれば、いくら“これは訓練の一つだ”と思っていも、“これは大変だ、何とかしてあげなくては…”と思うのが人の情というものでしょう。でも、これは逆ですからね。人の情以上に、その人の心を支配することができるとすれば、それはその人が所属している組織の本質(意義や目的)以外にはないんじゃなかろうか…と思えるんですよね。

  3. 暴言居士 のコメント:

    たった一人の発言でそこまでは言い過ぎだと思いますが、自衛隊にとって災害出動がどんな位置づけなのか、関心は持ちました。

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