労働組合の役割と“アポ方式”戦術考…

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 タイトルを見て、「なんじゃそりゃ?」って思われたかな?労働組合の役割とアポ活動と何の関係があるのかと…。実は、大いに関係があるのだ。アポ方式の導入は、労組の提案によって導入されたものだからだ。今では、随分と評判が悪くなったアポ方式なので、これを言うと「労組はなんということを提案してくれたのだ!」とお怒りになるかもしれない。そこでちょっと考えてみようと思ったのだ。

 では、アポを導入した当時を振り返ってみよう。当時、アポ方式を生み出したみやぎ生協をはじめ、それを見習っていち早く導入したちばコープなどでは、“新規加入”が順調に進み、供給高減少に苦しむ他生協をしり目に供給減少に歯止めをかけ、上昇に転じていた。生協労連では、好調の陰にアポありとして全国宅配事業交流会などで紹介し、交流を深めていた。

 その当時、当のおかやまはどうだったのか…、ご多分に漏れず、供給減少に歯止めがかからず、時には〇〇対策などと称して供給対策を講じ、一定の効果はあったものの供給高の長期減少傾向は変わらずにいた。当然、労理交渉でも厳しい回答が相次ぎ、しんどい交渉を余儀なくされていたのだ。

 実はこの時、おかやまコープの戦略の柱は、“新規加入”ではなく“班内拡大”だった。もちろん、新規加入を全く追求しないということではないが、班の平均人数が他生協と比べても断トツで高い実績(それはそれで誇るべきではある)のおかやまは、その組合員の力に依拠し、班組織の強化という位置づけで、“班内拡大”を重点にしていたのだ。

 組合員の力に依拠すること、それ自体は間違いではない。しかし、それは当然、班の人の知り合いや近所の人に限定される取り組みになる。しかし、個別化がすすむ社会環境の変化は、それだけでカバーできるわけもなく、だからこそみやぎやちばではアポ方式の導入で、これまで想定されていなかった単身男性や高齢者世帯(独居含)、ご近所付き合いのない若年世帯などに加入の輪が広がったというわけだ。

 労働組合は、交流会でそうしたアポ方式の情報を得て、理事会に「他生協のように“新規拡大”に軸足を置くべきだ、その戦術として岡山流のアポ方式の導入を検討すべき」と主張したのだ。当時の理事会は、その方式はおかやまにはなじまないと拒否し続けた。しかし、全国の経験には逆らえなかったのか、最後には「労組が持っているアポ方式の情報をすべて教えてほしい」とまで言ってきたのだ。自分で情報収集は出来ないのかと情けなくも思ったが、ほどなくアポ方式の導入となり、その後は皆さんの知っている通りだ。そして、アポ導入直後は“新規拡大”が進み、発行人数も何年振りかに前年を超える実績にもなった。これが宅配事業の供給高減少傾向に歯止めをかけた大きな一つの戦略(新規加入重点)と戦術(アポ方式)となったのである。

 もし、あの時、労組が提案していなかったらどうなっていたのだろう。いずれはアポ方式も導入されたかもしれないが、そのタイミングは決してあの時点ではなかったはずだ。だとすれば、今でも厳しい経営状況はその通りだが、あの時の労組の提案がなければもっと深刻な状況になっていたかもしれないのではないか。

 労組は、反対ばかりするとか、無理難題ばかりを要求するとか、権利ばかり主張するとか、色々とご批判される方々もおられるが、どうだろうか?こんなこともあるんだよっていうことの一つ、アポ方式導入に関わるこの話。これに似た話は、実はいくつもある。パート配送導入問題もそう、過去の産地偽装問題が起こった時もそう、労組の主張や提案がその後にどれだけ役に立っているか…。「労組も要求するばかりではなく、生協の未来を考えるようなやり取りはできないのだろうか?」…以前、職場集会報告書か何かに書かれてあった意見の一つだ。実は、皆さんには見えてない部分かもしれないが(でも、ニュースなどでは書いていると思うんだが…)、ご指摘のような“未来を考える”やり取りが、実はたくさんあった、いや今でもあるのだ。

 しかし、問題は現在だ。始めこそまだよかった(?)ものの、現在のアポ方式の評判はすこぶる悪い。それは当然だろう。何年か前に導入したその時と基本的には同じ方法で今でも運用しているからだ。理事会自身、社会の変化は早く、そのスピードについていかなくてはいけないと言っているではないか。言ってることとやってることが一致していないのだ。すなわち、アポ方式も進化しなければいけない。聞けば、今では“新規加入”が目的ではなく、“アポを取ること”自体が目的になっているような実態さえ漏れ聞こえてくる。では、どんな進化があるのか…、それを考えるのは運営部の仕事だろう。現場が困っている(悪評が立っている)のなら、その情報をいち早くキャッチし、どう改善すべきかを考える…。もしかしたら、悪評が立っていることすら気づいていないのかもしれないが…。

 さて、実は労組もそういう形で経営にも貢献しているのだという話、どう感じただろうか?これも執行部の独りよがり?もちろん、そんなことがあったということを、きちんとみんなに伝えきれていないという弱点は否めない。しかし、労組は業務ラインと違って会議への参加や資料を読ませるうえでの“強制力”はない。いずれも自分自身の自主性によるのだ。つまりは、前述した労組への批判は、そういう自主性を発揮できる労組活動を求める貴重な意見なのだと受け止めたい。

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労働組合の役割と“アポ方式”戦術考… への9件のコメント

  1. 某中執 より:

    担当者の力量や組合員さんが昔のように生協に高いロイヤルティを感じていて協力してくれているかどうかの問題も大きいと思います。
    アポ活動は誰でもいつでもできるってところが最大のメリットだと思います。アポ活動は即効性もあるからこれに傾倒していくのもわかりますし、班拡っていっても理想と現実は昔よりギャップは拡がっています。だから今はアポ活動しかありません。でもアポ活動ばかりやっていたらダメなのはみんなわかってるんじゃないですか?だけど紹介、班拡じゃ数が伸びないし、そこを改善?するには時間がかかる。

    確かに古い言葉ですが組合員に依拠してなくても達成できる方法です。
    また、成果率も35%程度に設定しておけば、掛け算でアポ供給量さえ確保できれば拡大目標は達成出来ます。
    先日担当と話していてビックリしましたが、紹介では1割ほどしか成果が見込めないのでアポのほうがいいといいました。昔は紹介はほぼ加入していただけたと思いますが。。。紹介の定義というか組合員の協力度合いがかわってしまったのかもしれませんが。

    • nishizaki より:

       なるほど、担当者自身に実感としてはそういう思いがあるんでしょうね。
       それを全否定するつもりはないですけど、私が参加している生協労連の政策委員会には、生協のことに結構詳しいコンサルタントが入っていて、その方に言わせると、「今時、無差別訪問などの営業方法はナンセンスで、時代に逆行している。優秀な会社では、顧客(生協では組合員)が顧客を増やすというサイクルをどう構築するかがポイントで、それには顧客からのゆるぎない信頼が必要なわけで、それを得るためにはどうしたらいいかを課題としなければいけない」と指摘されています。また、「そういう無差別で拡大した場合は、利用定着率が低く、増やせば増やすほど長期的に見ればコストがかかり、損益を悪化させる」とも。どっちかだけを選択するということではないにしろ、私にはコンサルタントの主張の方がしっくりきます。
       つまり、ご指摘の“組合員のロイヤリティ”…やはり、ここでしょうね。
      …あれ?なんだか本文の記事との内容から、逆のことを言ってしまっているような…。

      • 某中執 より:

        まさしく、書記長がいうように、今はネットでさえ口コミで広がるのが流行です??
        口コミで拡がっていく、口コミで拡げたい生協であるかどうかが最大のポイントだと思います。
        供給高は信頼のバロメーターって学びました。競合のせいにしてもしょうがありません。なぜ約200億近く落としたのかを真摯に考えるべきではないでしょうか?

        お店ファクラブ??じゃなくて、マルサの女みたいにがっつり文句を聞く会にするべきでした。組合員の集まりコープ委員会や理事会では真摯にカタログの評価を聞くべきです。いいことを集めるのも大切ですが、ダメなことを聞いてとことん改善するっていう姿勢も大切だと思います。

        • アカ より:

          供給を落としている原因って、割と単純な問題じゃないでしょうか。

          利用人数にこだわってこなかったから。

          「来週から仕事に行くから、共同購入を止めるわ」
          という人に対して、「僕が個配をするから止めないで」と今まで言って来なかったでしょ。
          物流の問題もあるにせよ、思想の問題が大きいと思う。
          どうもうちの生協は、共同購入というほのぼのしたものが好きなんですよ。
          だから数値偏重主義とも私は思わないんですよ。

          • nishizaki より:

             「僕が個配するから止めないで」…は、対応としてもどうも違うような気がしますが…、言われたかったのは「個配を利用しませんか?」というこだったのでしょうか?
             大切なのは“仕事に行くようになっても生協(共同購入)を利用し続けたい”と思われる生協(共同購入)になることでしょう。その方法は人によっても異なるでしょうから、それに全部対応することは大変でしょうが、視点としてはそういうことがまず大切なんではないでしょうか。
             でも実際はどうですか?そういう視点や発想よりも、「今日、加入(アポ)いくつ取れた?」ということだけが強調されてはいませんか?そうでなければいいんですが、いろいろ話を聞くとどうもそんな感じで、誘う側が意義を感じられていないような風に聞こえてきます。それが私の言う“数値偏重主義”という意味なんですが…。

  2. YG より:

    私はアポ方式のおかげで近年の加入目標を全て達成してきました。
    とても楽で、成果率の高い手法なのに、悪評もあるんですね。興味深いです。
    個配の加入も評価されるようになったのは本当にありがたかったですね。
    これからも先端を行く活動提案をよろしくお願いします。

  3. アカ より:

    そういえばこの間、家の中を掃除していたら、
    2005年のコープナビが出てきて、何げに見ていたら
    「現場アポ」なる文言が!
    ・・・先進生協は7年前からやっていたんですねえ。
    上司に言われて、仕方なくとり続けているコープナビ
    ですが、理事会役員の方々自身は読まれているん
    でしょうか?
    先月号だったか、「震災ボランティアの経験を活かして
    仲間作りキャンペーン成功」(おかやまコープ)なんて
    書いてあったけど、なんぼなんでもそれはないだろ
    と思ったのは私だけではないと思う。
    よくもまあ、そんなファンタジーを作り上げれたもんだと。

  4. ハイサイおじさん より:

    アポ方式導入について、労組提案の趣旨はそういうことだったのかも知れませんが、現実的な意味は違います。それまでも新規加入(班内拡大もしくは新班結成)を追及していました。
    ただそれが班配達に限っての話で、担当者が個配加入をとっても「まったく」評価されず、ひたすら班配達での新規加入(店利用者を班に入れるいわゆる移管も相対的に低い評価しかされません)を追わされていたというところに問題がありました。共同購入研で「まだまだ班配達は拡大できる」という現実逃避としか思えない方針が提起されたのもほんの数年前です。
    アポ方式導入で一番意味があったのは、個配・班配の区別ない拡大が全体の課題になったことです。

    • nishizaki より:

      そうですね。そういわれて思い出しました。アポとは別に、他生協の伸長にならって、個配の拡大を提言した時期もありましたね。
      それにしても、“アポ”の話となると、レスポンスが早いですね!

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