日別アーカイブ: 2011年7月29日

最賃審議委員よ!彼らの目を見て、それでも“1円”と言えますか!?

 7月27日、中央最低賃金審議会(略して中賃)の答申が出され、全国平均で“6円”の最賃引上げ額が示された(全労連談話はこちら)。6円と言っても、いわゆる生活保護基準との逆転現象が指摘されていた県を除けば、ほとんどがたった1円の引き上げである。岡山県のそれは現在683円/時だが、岡山県の目安額もご多分に漏れず1円である。この中賃の目安額を参考に、地方最賃審議会(略して地賃)がその地方の最低賃金額を決めるのである。

 地賃による岡山の最低賃金が決まるのはもう少し先だが、中賃の目安を大幅に超える額を決めるだけの勇気を、おそらく岡山の最賃審議会は持ち合わせていない。従って、2011年度の最賃は684円となる公算が極めて大である。もう計算するのもあほらしいが、1円上がれば1日8hはたらいて8円、それで月に22日ほど働けば176円になる。1リットルのペットボトル飲料を1本買えば、まぁそれで終わりってとこか。
 論議には、震災の影響も大きかったようだが、だからこそ最賃を大きく引き上げ、それに応えられるように中小零細の企業への支援策を政治の責任として行ってこそ、震災の復興が前進するというものだ。いわゆる“支払い能力”から最低賃金を導き出そうとする(もっとも、大企業は1000円以上の最賃でも十分にやっていける体力はある)使用者側委員の思惑に引きずられていては、いつまでたっても最賃は引き上がらない…、それは憲法に保障された生きる権利が守られる社会はいつまでたっても来ないということと同義である。
 すでに中賃の答申が出てはしまったが、その翌28日には日弁連が最賃問題で集会を開き、日比谷野音では全国集会が開かれた。生協労連の私を含む最賃闘争委員の面々は日弁連の集会へ、その他の仲間は野音集会へ結集し、集会後は東京駅までデモ行進を行った。
 日弁連の集会には、民主党の何とかっていう議員と共産党の田村議員、社民党の福島党首が連帯の挨拶に立った。民主党の議員が挨拶に立った時は、“裏切りの連続の民主党が何を言う!”と斜に構えてしまい、写真も名前も記録しなかった…、今考えれば失敗した。もしかしたら、民主の中でも頑張っている人だったかも。結構若い議員だったな…。
 内容は、大学講師が最賃運動の歴史と今日的課題について講演し、そのあと神奈川県で「現状の最賃は憲法違反だ」と裁判を起こしている原告団の仲間が報告に立った。まだ30そこそこの若者で、教職を目指して通信教育などで学びつつ、学童保育などのアルバイトで生計を立てているという。一応、彼女もいて(彼女もアルバイト)結婚もしたいと考えているが、とても今の収入では二人暮らしていけるわけもなく、夫婦げんかならぬ恋人喧嘩によくなるそうだ。裁判の原告に何故なったのかと聞かれて、「まだ諦めたくない」と答えた言葉が印象的だった。
 正直言って、自分が30歳の頃と言えば夢を追って挫折し、田舎へ帰ろうかなどとお気楽に考えていた時期で、なんと境遇の違うことかと改めてショックを感じた。最賃審議委員のメンバーは、こうした切実な若者(もちろん若者だけではないが…)が、街にあふれているという実態をいったいどう感じているのだろうか。1円などというふざけた目安を出す連中には、彼らの苦しみは永遠に理解できないに違いない…。
 だからこそ、貧困と格差の問題に真正面から取り組んできた全労連が推薦する審議委員が必要なのだ。なのに、日本全国、どこの審議会にも全労連推薦の委員は存在しない。すべて連合が独占しているのである。
 最賃引き上げの運動は、まだまだこれからも続く課題だ。神奈川での裁判も始まったばかり。一歩一歩前進を築き、近い将来には必ず憲法の精神が真に生かされた社会を実現するために、これからも奮闘してきたい。

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