日別アーカイブ: 2011年7月1日

やっぱり来ましたね…消費税10%!

 社会保障と税の一体改革…この議論に出てくるのは、「将来の社会保障財源は大変で、水準を落とすか消費税を上げるかいずれかしかない」というものだ。私たちが主張する法人税や高額所得者への優遇税制の見直しなんていう議論はみじんもない…というか、それを言えば企業は海外へ逃げ出すというまことしやかな戯言で矛先をかわし続けている。

 政府が出した改革案では、“2015年までに”という文言は削除されたものの、経団連はさっそく「私たちが望んでいたものにほぼ近いもの」と高く評価した。何故か?消費税が上がると景気が失速するのでは?という懸念の声は政府与党の中ですら根強い。にも関わらず財界がこぞって消費税増税を主張するのには裏がある。
 以前も書いたと思うが、輸出を柱とする大企業は、基本的に消費税は支払っていない。というよりも、還付金という形で莫大な税金が戻ってくる仕組みになっているのだ。つまり、輸出するということは、その商品を買うのは外国なわけで、当然その外国には日本の消費税は適用されない。だから、売値に消費税を乗せるということはできないわけだ。しかし、国内で生産している段階では、原材料を購入する際をはじめ、流通の各段階で消費税がかかっているわけで、買値に消費税が含まれている。ところが、この商品が出来上がって輸出される場合には消費税を乗せることができない。なので、それまでの流通段階でかかった消費税分(支払ったと思われる)が還付されるというわけだ。
 おっと、勘違いしてはいけない。どこぞの〇〇ネットも「下請けいじめ」と報道された(消費税のことではないが…)が、大企業が取引先や仕入れ先企業に正直に消費税を支払っていると思っている人は、バカ正直者か世間知らずのおぼっちゃまだ。そんなもの、下請け叩きで“まけさせている”に決まっているではないか。もちろん、取引の形の上では支払ったようにするんだろうが、要は原価をそれ以上にたたくわけだ。
 結局、消費税が上がろうと、こうした企業には何の痛みもない…苦しむのは、その大企業に泣かされている下請けや取引先なのだ。しかも、税率が上がれば上がるほど、“支払った”はずの消費税は大きくなり、従って“還付”の額も自動的に大きくなるわけだ。これを濡れ手に粟と言わずしてなんと言おう。
 もう一つの狙いは、企業が負担している労働者の「社会保障費」である。多くの会社は社会保障費を労働者と折半で負担しているが、「社会保障の財源に消費税で」ということを理由に、企業の負担分を軽減してもらおうという魂胆なのだ。
 日本の企業は、法人税が高くて競争力が弱いなどとよく宣伝されている。しかし、ヨーロッパなどの企業と比較するとき、確かに法人税だけを見ればそういえなくもないが、同時に社会保障の企業負担分なども、税金と同様に企業の社会的負担として見た場合、日本国内の企業の負担は決して多くないのだ。
 まやかしの理屈で、さらに大儲けをもくろみ、震災の被災者にも容赦なく消費税で負担を強いる、そのことを平気な顔をして、そうでもしないとさも国家が破たんすると脅し、それが政治の責任だなどと戯けた今の政府の連中を見ると気分が悪くなる。こんな時に選挙ではないとは思うが、こんな連中にいつまでも政治をやらせていたら、ホントに日本は破滅してしまうのではないかとさえ思えてくる…、もう本当にいい加減にしてほしい…。

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