最高裁で、君が代を歌う際に起立しなかったとして定年後の再雇用を拒否されたのは不当だとする元教員の訴えを退ける判決が出された。再雇用拒否の理由が他の理由ならともかく、まさにこれは憲法に保障された思想信条の自由を踏みにじる判決だと思う。
今、大阪ではこれを条例に制定し、起立･斉唱しなかったもの（教員）に対し、懲戒を含む罰則を課そうとしている。公権力がここまで教育に踏み込む姿は、まさに戦前のそれを思い起こさせる。
最高裁の判決は、起立･斉唱の命令は思想信条の自由に“少しだけ”制約を加えるものの、その業務命令はその場の状況（式典など）の秩序の確保や円滑な進行を図るための必要性や合理性があり、憲法に違反しないという。
…う〜ん、不思議だ。式典の秩序や円滑な進行のために、憲法に保障された自由の制約はやむを得ない、あるいは許容範囲だというわけだ。ならば、その式典そのものがあのナチスの式典だったり、戦時中に学校の校庭などで天皇の写真（いわゆる御真影というやつ）に向かって敬礼をさせられていた時も、さらに北朝鮮の統制のとれたあの式典であったとしても、それ以外でも例えどんなに自分の意に反していた式典だったとしても、それを円滑に進めるための指示命令ならば、それに背くことは許されないということなのだろうか。
あまりに話が飛びすぎだという人もいるかもしれない。しかし、この問題の根本はそういうことではないか。起立・斉唱することが愛国心の表れだなどと凝り固まった発想しかできないからこんな判決しか生まれないのだ。君が代を歌わなくたって愛国心いっぱいの人はたくさんいるはずだし、本来の愛国心とは、本当にこの国に生まれ育ってよかったと思えるような国を作るということではないか。憲法に保障された自由を少しばかり制約する業務命令だが、それでもその命令に従うべきだなどとのたまう国に対して、どうして愛国心など生まれようか。そのことを裁判官はわかっていないんだろうね。
大阪の維新の会が出している条例案…、もうコメントすることすら恥ずかしい。公権力の教育への介入によってあの戦前の思想教育、マインドコントロールは始まった。だからこそ、戦後、憲法や教育基本法によって公権力の教育への介入が戒められたのである。今また大阪は、あの時代を繰り返そうとしている。
ああいう、“自分の言うことを聞く”権力社会をつくるというか、そういう社会で君臨することがきっと気持ちがいいんだろうね、橋下知事は。
私は立ちませんよ。歌いもしません。それが息子の入学式や卒業式であっても。それが私の愛国心だから。
そんなに「起立・斉唱」がいやなら公務員をやめればいい。橋下知事は一般人にまで求めてません。組織にしがみつきたいのならある程度の束縛は甘受すると言う事です。ただ、裁判官は所詮“御用”裁判官です。
“そんなに「起立・斉唱」がいやなら公務員をやめればいい。橋下知事は一般人にまで求めてません。組織にしがみつきたいのならある程度の束縛は甘受すると言う事です。”
…違うね。まず、公務員であるからこそ憲法を守る義務がある。“ある程度の束縛”であれ何であれ、それが憲法に反することなら、それに従うべきどころか、公務員であるからこそ抗うべきなのである。そもそも、この問題はたかが“業務命令（条例による憲法違反の命令）”が憲法より優先されるのかどうか、とどのつまりは憲法に保障されている個人の思想信条の自由や基本的人権が、真に守られる社会であるかどうかが問われているのである。“組織にしがみつきたい”とか“いやならやめれば”などというレベルの問題ではなく、当然そこにこの問題の本質があるわけでもない。まぁ、そのことが理解できないとすればそれまでなのだが…。
“組織にしがみつきたいのならある程度の束縛は甘受…”、…もし、本当にそう思うのなら 、そしてオーランチオキトリウムさんが生協の職員であれば、さらにその生協にしがみついていたいのなら、“仮に”理事会がどんなに理不尽なことを言ったとしても甘受されるおつもりなんでしょうか？私はそうは思えないんですけど…。
最高裁では合憲の判断。日本は法治国家です。革命でも起こさない限り今の体制を変えることは無理ですね。
あれれ？裁判官は“御用”裁判官なんじゃなかったっけ？
法律を各人が自由に解釈してたら社会生活自体成り立たない。ある一定の指針が出ればそれに従わざるをえない。特に公務員は（法律を盾に仕事をしている張本人だから）。
学校ではルール（理不尽なものもある）を守れと生徒には圧力をかけるくせに自らはルールを破るなんてありえない。思想信条が優先ならせめて私立の学校に就職して下さいな、と言いたくなる。公務員という身分でぬくぬくの既得権を享受しながら欲をかきすぎ。
「あれれ？裁判官は“御用”裁判官なんじゃなかったっけ？」＞この国のしくみだからど～しようもない。所詮政治家にもこの国のしくみは変えられない。全ては役人が牛耳っているんです。
>>「学校ではルール（理不尽なものもある）を守れと生徒には圧力をかけるくせに自らはルールを破るなんてありえない」
要するに、「お前ら（先生や公務員）も理不尽なことをルールと称して“守れ”と生徒や我々に圧力をかけてるんだから、憲法に違反してようとなかろうと、上から言われたルールについてはうだうだ言わずに守れよな」ってことですね。この主張は、オーランチオキトリウムさん自らのご主張にも矛盾しているようにも思えますけどねぇ。要は、すべてを牛耳っているのは“役人”で、そのことはそりゃそれでとても腹立たしい（んでしょ？）けれど、でも結局その役人に従えってことなんでしょう…。
「いや、そうではない、“法律を各人が自由に解釈してたら社会生活自体成り立たない”からだ」…とおっしゃるかな…。そんなことはありません。現実に憲法や法律は様々な解釈がされていますよね。でも社会生活は成り立ってますよ。こういう議論の中で社会思想というものは進歩していくんでしょうけど、それを後退させる（今回の事象については少なくとも私はそう思っている）議論に私はくみせないというだけですね。
>>「公務員という身分でぬくぬくの既得権を享受しながら欲をかきすぎ」
一般の公務員の実情を知らぬ上に、いわゆる“官僚”と呼ばれる連中とをごっちゃにした議論…まぁまさに権力側の言い分をそのまま鵜呑みにして嫉妬している議論としか私には思えないなぁ。
「橋下知事は一般人にまで求めてません」と言われても「府民、とりわけ次代を担う子どもが伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する意識の高揚に資する」と条文にも書かれていますからね。
個人的に君が代を尊重すべきか否かとは別次元のことを教員に求めているのですよ。
だから公務員ではない私学の教職員組合も反対しているわけです。そもそも採決で維新の会以外の主要政党（自民・民主を含め）は反対したでしょ。
教育委員からも懸念の声が出ているというニュースもありましたね。教育委員の任命権は知事にありますから、教育委員が表立って知事の方針に懸念を示すなんて、相当なことですよ。