日別アーカイブ: 2010年11月24日

民主党政権を考える2つの学習会に参加

  11月16日(火)に岡山県労会議主催で「核密約はなぜ廃棄できないのか」、11月20日(土)に「平和・民主・革新をめざす岡山の会」の総会があり「民主党の国会論-衆議院比例定数削減の狙い-」と題する学習会に参加した。
    自民党小泉内閣時代の「構造改革」でひどい目にあった国民が、政治を何とか変えたいという思いで誕生させた民主党政権だが、様々な問題を内包しているようだ。それは、この間の普天間基地移設問題や尖閣諸島の漁船衝突事件のドタバタでも明らかだ。労働組合は政党ではないが、私たちのくらしの問題と政治(政治が進める政策)は切っても切れない。国民の支持をつなぎとめるために、「労働派遣法の改正」や「子ども手当て」、「高校無償化」なども国民受けしそうな政策も掲げるが、財政的な裏づけも実行力も乏しい。どちらの学習会も今の民主党政権は、平和とか民主主義の問題については極めて危険な思想的な側面と行動原理を持っているのかと考えさせられる学習会だった。民主党の隠れた「牙」を押さえ込み国民本位の政策を実行させる、私たちの運動が今後ますます重要になるということだろう。

 16日の学習会の講師は、広島市立大学平和研究所の浅井基文氏。浅井氏の講演は何度か聞いたことがある。もと外交官だけあって非常にわかりやすい話をする。話の論旨は以下のとおり。(1)核密約の問題は、1960年当時に中国を意識したアメリカの外交戦略と日本国民の核兵器廃絶の運動との折り合いをつける形で作り出された虚構だった。条約上の事前協議の対象とすべき核兵器の持込を日本側から事前協議を提起しないことですり抜けるというものだった。(2)アメリカの核政策は、中国を強く意識した上で核抑止力を維持するというもので、日本が非核三原則を維持し続けることと矛盾する。(3)民主党政権になって、当時の岡田外務大臣は核密約の存在を認めた上で、今後について国会答弁で「そのときの政権が政権の命運をかけて決断し、国民のみなさんに説明するということ」と答弁して、非核三原則が維持できなくなる可能性に言及している。これは今までの自民党政権にはなかったこと。
 なるほど、そういうことかという感じがした。民主党政権になって平和問題では自民党政権より危うい感じがしたが、まったくの杞憂でもなかったということか…。
 もうひとつの「民主党の国会論-衆議院比例定数削減の狙い-」という学習会は、岡山大学名誉教授の小畑隆資さんが講師だった。民主党が衆議院比例定数80削減を12月までに与野党合意する方針を打ち出したが、これにはどんな問題があるのかというのが小畑氏の論点だった。主な論点と批判の焦点は以下と私は理解した。(1)そもそも議員定数の削減は国民の代表を選ぶ権利を狭めることで民主主義の根本にかかわる問題であり財政のムダ使いとは次元の異なる問題。しかも人口100万人あたりの国会議員数は、日本は5.7人 イギリス22.8人 フランスは15.0人 ドイツ8.4人で国際的にも多いとはいえないし、国会議員削減で節約できるのは年間84億円程度、一方で年間320億円が政党助成金(共産党は受け取っていない)として支出されており、無駄遣いはむしろ政党助成金だ。(2)削減の対象が比例定数であることは相対的に小選挙区の比重を高める結果、少数者の人権(言論の自由など)が無視されることになる。真理とか正義を常に多数派が担うとは限らないのはファシズムにいたったドイツを見ても明らか。さらに切捨てられる民意はテーマによっては多数意見(憲法9条改革反対は国民の48%だが、国会議員の8割は改悪賛成)も切り捨てられる。(3)価値観が多様化した社会では多様な民意を反映する選挙制度が望ましい。民主主義=人権の視点から権力の監視が必要だ。
 テレビや新聞でも「多すぎる国会議員を削減しろ」的な論調が散見される。街かどのインタビューでも同様の声が聞かれる。比例定数に絞っているところが、民主党の狙いということか…彼らの民主主義論が透けて見える。小畑氏は新聞はほとんど報道しておらず何が問題なのかわからないといっていたが…。議員を減らすことは国民の権利の縮小につながるという指摘は目から鱗だ。私たちの主権者としての資質が問われているのだろう。

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